お遍路さんの杖はどうして必要なの?
   
 

今回はお遍路さんが持っている 「杖」 についてお話してみたいと思います。

白装束で巡礼をされてるお遍路さん、手には老若男女を問わず杖を持って歩いていらっしゃいます。この杖は、どうして皆さんお持ちになってるのでしょうか?
歩き遍路は大変です。少しでも荷物が少ない方がいいはずです。 自分は杖が無くても歩けるから無理に持って歩く必要はない、とお思いになられる方も少なくありません。
この杖、いったいどういう意味があるのでしょう?! 

   それは、杖は「お大師さま(弘法大師様)」そのものなのです。杖に記された「同行二人」。この「同行二人」とはお遍路がお大師さまと二人ずれという意味なのです。常にお大師さまがそばにいらっしゃって、お守り下さっているのです。 ですから、お遍路さんはみなさん、いつも杖をお大師さまの分身として大切に護持し、宿に着いたらお大師様の御足を洗うごとく、杖の先を洗い、床の間にたて、大切にされているのです。
  そしてこの杖は、「橋の上ではつかない」というしきたりがあります。それは、お大師さまが衆生済度大願のため四国の各地を行脚中、伊予大洲地方(現在の愛媛大洲)をお通りになったとき、当時は未開村落で人家も少なく、泊まるところが無く、途中に日暮れて空腹のまま、一夜を小川に架かった土橋の下で野宿をされた際、夜の明けるのを待ちかね、一夜(ひとよ)が十夜(とよ)に長く思われたそうです。そのことからこの橋を「十夜ヶ橋」といい、橋の下にはお大師さまが休んでおられるので起こさないように杖をつかないという教えになったそうです。  [十夜ヶ橋霊跡には弘法大師さまの寝姿像があります]

  お遍路は、一人で歩いていても、決して一人ではありません。杖は体を支えるだけのものはなく、お遍路さんの心も支えてくれているものなのです。

     
     
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